レップとは、“Manufacturer’s Representative”の略語です。
アメリカでは既に販売方法として確立し、いろいろな業界で広く用いられています。メーカーの製品やサービスをメーカーに代わって成功報酬で売ります。
これまでの代理店と違うのは、営業活動の結果受注したら、これをメーカーに渡して、この注文に関しての役割は終わります。
その後は、メーカーが納品・集金をし、出荷した分
についてレップにコミッションを支払います。


米国のセールス・レップについて  〔弊社代表の著書より一部抜粋〕
米国の企業と販売方法について話し合っていると、米国企業の販売部門の人員が少ないことに驚くことがある。

例えば、年商100億のD社の場合でも、販売部門は、販売担当副社長(VP Sales & Marketing)以下、
三人の地区担当営業部長(Regional Sales Manager)の合計四人しかいないとのことだ。


「四人の営業で、あの広いアメリカに売れるワケがないと言うと、先方からは、「でも、二十の優秀なレップを使っ
ています」とのことである。


さて、ここで、でてきたレップ(Rep)とは、何であろうか?
レップとは、正式にはマニュファクチャラーズ・レプリゼンタティブ(Manufacturer’sRepresentative)のことである
が、レップと呼ばれることが通常である。


レップの機能は、その正式名称が示すように、メーカーの代理なのである。代理といっても、いろいろあるが、こ
の場合は営業に関しての代理、つまり、メーカーの製品をメーカーに代わって売るのである。


それならば、何も目新しいことではなく、日本の代理店と何ら変わらないではないかと、思われるかもしれない。

ところが実際には、全く違うのである。レップは、メーカーの代わりに、営業活動をして、受注するが、このオーダ
ーをメーカーに渡してその役目は終わりなのだ。


後は、メーカーがその顧客のクレジット(信用状態)を調べ、メーカーの責任でメーカーから発送して、その分に
つき取り決められたコミッション(業界と商品によって異なるが、二%から二十%まで)を、レップに支払う。その後
で、メーカーが直接集金する。


つまり、レップはメーカーのために、売り込み活動のみを行うのであって、在庫・発送・集金は、関係ないのであ
る。
 歴史的に見て、レップは、アメリカで必要から生まれて、盛んになった販売システムなのであろう。第二章で
は、アメリカでの販売は、広大なる土地のゆえに、生産以上に大変であることを述べた。


したがって、売り上げが相当に大きい(数百億円から一千億円)メーカーを除いては、技術開発・生産というメ
ーカーの仕事を行うのが、精一杯であって、広いアメリカの主要都市に営業所を構えセールスマンを配置するなど
ということは、人・金の点から、とてもできることではない。


こう説明してくると、販売は誰がやっても、費用は同じではないかとの疑問をもたれるが、レップの最大のポイント
は、販売に関して、いくつかのメーカーが、レップに相乗りになっていることである。


つまり、メーカー一社だけで、営業所を設け、セールスマンを数人雇えば、その地域の売り上げだけで、その経
費を負担できない。


しかし、同じ事務所とセールスマンが、売り先が同じである、いくつかのメーカーの商品を販売すれば、その費用
を各社で分担・負担することになるのである。

したがって、レップ・ビジネスの基本は、いかにして同じ経費で、各メーカーのものを販売するかにある。具体的
には、顧客が同じであるいくつかのメーカーの商品を、各メーカーに代わり販売することである。
顧客が同じということを、具体的に説明しよう。いまレップの一人のセールスマンが、ある顧客を訪ねて、仕入れ
担当者に会っているとする。実例としては、コンスーマー相手のエレクトロニクス店、あるいはメーカーの講買
部としよう。

このとき、レップのセールスマンは、バイヤーと話をしている間に、一つのメーカーの商品だけでなく、相手が必
要とする別なメーカーのいくつかの商品を売り込めば、時間は確かに多少余分にかかるが事務所代、クルマの
費用、電話代などは同じであるから、経済的である。

買う方のバイヤーにしても、エレクトロニクス店の場合ならば、いろいろなメーカーの商品の品ぞろえが必要であ
るし、メーカーの講買部であれば、何百から何千というパーツが、生産に必要である。

バイヤーとしては、個々のメーカーのセールスマンと会うより、いくつかのメーカーの商品を扱うレップと会う方
が、経済的なのである。

第二章で、テキサス州(日本の二倍の広さ)のセールスマンが、平均すると一日に一時間しか、顧客のところで
話をしていないことに触れたが、この場合の経費も、よほど良く売れる商品のメーカーを除いては、とても一社
では払い切れるものではない。

それではレップは、顧客が同じであるいくつかのメーカーの商品を取り扱うといったが、実際には、どのような商
品を組み合わせるのであろうか?

組み合わせとしては、競合しないメーカーの商品で、かつ使用目的と技術的にはできるだけ近い商品である。

競合しないメーカーであることは、絶対の条件であり、これが守られないと、メーカーとしては、安心して任せるこ
とができない。

使用目的と技術的に近いということは、顧客が同じであるのと、商品説明のための技術知識が共通に使えるの
で、レップとして効率が高くなることである。

具体的なレップの取扱品目としては、先のエレクトロニクス店の場合ならば、レコードプレーヤーのアームとカート
リッジ、カセット・デッキとカセット・テープ、アンプ専業メーカーの高級アンプとスピーカー専業メーカーの高級スピ
ーカーなどである。何も、組み合わせ商品である必要はなく、要は、その店で売っている商品であり、技術的に
近いものでセールスマンが売り込める商品を、いくつ取り扱っても良いのである。

エレクトロニクスのメーカーに対する部品を取り扱っているレップならば、スイッチ、回路が働いていることを表示
するLED、電気的に操作されるスイッチであるリレーなど、顧客であるメーカーのバイヤーが必要なものを、幅広く
取り扱えば良いのである。

こうして、レップの各メーカーによる相乗り性を強調してくると、全アメリカでレップ制度が効率良く成立するために
重要な条件が必要であることに気がつく。

それは各メーカーが、全アメリカ各地でレップと契約する際、そのレップが販売活動をする地域(Territory=テリ
トリー)が、各メーカーとも、同じでなければ、ならないことである。

レップに対して、その販売活動を行う地域の限定(テリトリーの設定)は、秩序ある販売を行うためには必要なこと
だが、全アメリカをテリトリーに分けるのを、各メーカーがバラバラにやったのでは、相乗りというコンセプトが根底
から崩れてしまう。

そこで、レップ側が主導権をとって、各業界毎にレップの団体をつくり、この団体から、全アメリカのテリトリー分け
が発表されている。

こうしたテリトリーは、州などの行政地区とは関係なしに、むしろ商圏的に分けられたもので、例えば、南北に長
いカリフォルニア州などは、南北に分けられている。

その代わり、南カリフォルニアのテリトリーは、飛行機で一時間弱で行けるネバダ州のラスべガスを含んでいる。

契約の話がでたので、メーカーとレップの契約に簡単に触れよう。

メーカーとレップの契約内容で重要なことは、取り扱い製品のカテゴリー、テリトリー、コミッションの%である、コ
ミッションの%は、コンスーマー向け商品で、大量に売れるものは、二%、産業用の設備・機器などで、価格が
高く、一台売るのに技術的説明・打ち合わせなど、手がかかる商品ならば、十五%以上にもなる。五%から十%
までのものが多い。

レップが、一番神経をとがらせるのがテリトリーである。標準テリトリーが決まっているので、一見もめる余地はな
いのだが、最近の流通業界は複雑化している。

アメリカでは、第一章で述ベたように、チェーン店化している。このため、売り込む先(中央の買い付け事務所)
と、メーカーから実際に納入される場所が、異なることが多いにあり得る。

通常レップとの契約は、買い付を行う場所が、テリトリー内にある(売り込み活動が行われる)ことで、コミッション
の支払いをするようになっている。

したがって、自分のテリトリー内に、大型の店があって、自分が契約しているメーカーの商品がガンガン売れてい
ても、買い付が他のレップのテリトリーで行われている限り、一銭にもならない。

一方、自分のテリトリーにある会社に、メーカーの営業部長自らが乗り込んできて、交渉(レップも同席が普通)
の結果、大きなオーダーが受注できた場合でも、自分一人で受注したのと同様のコミッションが得られる。

つぎに、レップとの契約の期間は、メーカーとレップのどちらからでも、一ヶ月前の予告で、円満に別れられるの
が、通常である。

したがって、当然の結果として、メーカーは、より良いレップを、レップはより良い商品を求めて、各メーカーのレッ
プは、常に入れ替わっている。

最後に、レップのオぺレーションについて、少し説明しよう。<BR>

もう皆さんお気づきのように、レップは、正確にいえば、レップ・カンパニーである。もちろん、一人で頑張っている
会社もあるけれど、通常はセールスマンが何人かいる。平均的には、五人ぐらいであり、大きなレップ・カンパニ
ーでは、セールスマンが数十人いるところもある。

したがって、本節のメーカーD社の場合にも、レップ二十社、つまり実質的には、二十営業所に約百人のセール
スマンが、C社の商品を、全アメリカで販売する体制になっていたのである。



「ビジネス・ブレーンが書いた、アメリカとのビジネス成功法」
ソーテック社1986 83頁-91頁 Copyright1986
公平良三著